銀行対策を誤って、取引銀行を変えざるを得なくなった企業
創業時に近くにあった銀行の支店と取引を行い、会社が別の場所に移動しても、取引している銀行の支店はそのままという企業も多いのではないでしょうか?
今回の事例は、そのような企業が、同じ銀行で別の支店に取引を移動したことで起こったことです。
銀行対策は、同じ銀行でも別の支店と取引する際にも必要なのです。
その企業は、創業時に近くにあった銀行の支店との取引をメインとしていました。
企業の成長とともに、その銀行の支店との取引も拡大していき、取引店のなかではVIP的な企業になりました。
しかし、創業時の本社では手狭になり、電車で30分程の場所に本社を移動したのです。
本社移動後も変わらずにその銀行の同じ支店と取引を継続していましたが、その支店に行くのも、その支店の銀行担当者が企業を訪問するのも、往復で1時間余りかかるので、企業と銀行の支店が相談のうえ、効率を考えて、同じ銀行の別の支店に取引を移動することにしたのです。
その企業の本社の近くの支店は、その銀行では今までの支店より規模(企業融資への実績)も大きく、申し分のない取引ができると考えていました。
実際、資金調達(銀行借入)などは、今まで通りに滞りなく行われていました。
ところが、別のことで企業には不満が生まれてきました。
今までの支店であればVIP的な企業でしたので、支店に行けば奥の応接室に通されていましたが、その支店では、パーテーションで区切られた応接スペースでの応対となったのです。
その企業にとっては、おもしろいはずがありません。格下げになったような気持ちになるのは当然です。
しかし、その支店には、その企業より大きな規模の企業が多く、まさにその企業の規模では応接スペースで応対するのが普通だったのです。
銀行の担当者の訪問も、今までの支店の時とは、回数が減りました。
一方が不満を持つと銀行取引は上手くいきません。
結局、その企業は、本社移転後に取引を開始した別の銀行をメイン銀行に変更しました。
この企業の場合、別の銀行が直ぐにメイン銀行となってくれましたので、資金繰りに影響はありませんでした。
しかし、通常は、メイン銀行との取引が上手くいかなくなった場合、企業側からメイン銀行の変更を申し出ると、申し出を受けた銀行は、「メイン銀行だからこそ知っている悪い情報があるからではないか?」と疑るものです。気を付けてください。
この事例で、皆様に知っていただきたいのは、次の点です。
・売上規模によって取引する銀行を間違えると満足な取引ができないのと同じく、同じ銀行でも取引する支店を間違えると満足な取引ができないのです。
・同じ銀行内でも、支店によって「格」の違いがあります。その「格」を考えて取引をしてください。
・銀行員は、企業規模によって訪問回数などの目安が示されていますので、より深く銀行取引をしたい場合は、ご自身の企業規模がその銀行でどのように位置付けられるのか考えてください。
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